流星のなりたち
彗星 流星が彗星の残したチリやごみからできていることはご存知でしょうか? チリやゴミといっても直径数センチの氷や石ころみたいなものです。 まずは流星のもとである彗星から見ていきたいと思います。(周期彗星を例にとっています。) 彗星は太陽の周りを回る天体です。彗星は尾があるというのは有名ですが、実はその尾には2種類あります。 太陽と反対側に向かって伸びる、イオンからできたイオンテイルと、彗星が来た方向に湾曲して見える、 ごみなどからできたダストテイルです。イオンは重さがほとんどない気体みたいなものです。それに対してダスト の尾は直径数ミクロンから数十ミクロンと小さな粒子で構成されています。

イオンの尾=イオンテイル

ダストの尾=ダストテイル   

太陽、地球、そして彗星 しかし、彗星にはこの2本の尾だけでは なく、もう1つの重要な構造である「ダストトレイル」があったのです。残念ながらダストトレイルは肉眼では見えません。そのため1980年代までその存在が知られていませんでした。そのため 流星の出現予報はほとんど当たりませんでしたが、1990年代の後半イギリスのアッシャー博士によっていわゆるダストトレイル を用いた予報手法が確立されました。これによって流星群の極大時刻があるものは数分の精度で当たるようになりました。

流星の元 =ダストトレイル

彗星の軌道 彗星から放出された流星物質は、彗星とほぼ同じ軌道上を描きます。これがダストトレイルです。  それらの流星物質は、太陽から遠く離れたところではゆっくりと回っています。 太陽に近くなると今度は細くなり、早く回るようになります。 これがいわゆる「ケプラーの第2法則」と呼ばれるもので17世紀には知られていました。

 さて、こうしてダストトレイルとなって太陽をまわる流星物質ですが、母彗星から離れて数百年から数千年はダストトレイルに属して いますが、長い時間を経るうちにしだいにバラけてきます。まだ新しくてイキのいいダストトレイルが地球と交差すると、短時間に大量 の流星を降らせる「しし座流星群」のような出現を見せます。

 形成されて長い年月(数千年以上)を経たものは長い出現期間を持つ「ペルセウス座流星群」や「ふたご座流星群」のような出現のしかた をします。

     しし座流星群 =新しいダストトレイル(できてから数百年)=短い時間(1時間)に大量の流星(1時間あたり数千〜数万)が出現

  ペルセ、ふたご=古いダストトレイル(できてから数万年以上)=長い時間(1週間)に大量の流星(ただし1時間あたり数十〜数百)が出現

ダストチューブ 何度も軌道上を彗星が通ることで、複数のダストトレイルが形成され、それが 次第に広がって重なっていっていったものは、もはやどの流星がいつ形成されたダストトレイルに属しているのか分からない ものになってしまいます。このような広がったダストトレイルの集合体をダストチューブと呼びます。しし座流星群では母彗星が いつの回帰で作ったダストトレイルか正確に計算できます。しかし、ペルセウス座流星群やふたご座流星群ではほとんど混ざって しまっていつのものだか分からなくなってしまいます。しかし、粒子の濃淡は太古のダストトレイルの記憶を含んで、われわれに 流星の出現数の変化というかたちであらわれます。
ダストトレイルと地球 これを観測するために、天文部では毎年夏合宿で約1週間ペルセウス座流星群を観測しています。

2005年も多くの流星にめぐりあうことができました。これらの流星物質は人知れず母彗星を離れて数万年も 宇宙空間を漂っていたものなのです。

地球の突入 地球がダストトレイルに突入すると、 しし座流星群の場合1時間にわたって多くの流星が出現します。地球は1秒に30km動きます ので、ダストトレイルの太さは、

 60秒×60分×30km=約100000km

ということが分かります。それに対して1週間にわたって出現が見られるペルセウス座流星群の場合は、

 7日×24時間×60分×60秒×30km=約○○○km

となります。ひとくちに流星群と言ってもいろんな種類のものがあるのです。

地球の大気圏で流星物質が原因で発光が起こり、 流星となって見えるのです。

!!Meiji Univ. Astronomy Club!! (Meteor Section)
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